「初めての殺意」
2004年 11月 11日
どうも僕は昨夜飲み過ぎてしまったらしい。
プロジェクトが完了して、その打ち上げがあったのだけど、ちょっとハメを外しすぎたみたいだ。
誰かがノリで頼んだアルコールの強い酒を、なぜだか知らないけれど僕が一気飲みさせられることになったのは覚えている。
僕もお酒は嫌いではないし、そもそもその時点でかなりの量を飲んでいたから、みんなの一気コールも手伝って一気に飲み干してしまった。
どうも、それがいけなかったらしい。
飲み干した直後は、ヒーロー気取りでみんなからの声援に応えたりしていたのだが、それが落ち着いたあたりから記憶があやしい。
途中、トイレを目の前にして吐いていたのはぼんやりながら記憶にあるのだが、どうやってお店から出たのか、どうやって自分の部屋に帰ってきたのか、その辺りはまったく覚えていない。
・・・そう。僕は今、自分の部屋のベッドに寝ていた。
まだ頭はガンガンするが、自分のベッドのニオイくらいは分かる。
とにかく、何か飲もう。
そう思い、とりあえず寝返りをうとうとした瞬間、背中が何かにぶつかった。
これは・・・・・・人・・・か・・?
どうも隣に誰かが寝ているようだった。
・・・もしかしたらここは僕の部屋ではないのか?
そう思い、痛む頭をおさえながら、軽く体を起こし、目を開けて焦点を合わせる。
見覚えのある壁。クローゼット。電気スタンド。
まだ頭が痛くて全てを見回すことはできないが、こちら側を見る限り確かに僕の部屋だ。
じゃあ隣に寝ているのは・・・?
僕は恐る恐る隣に寝ている人間の方を見た。
顔が向こうを向いているのでハッキリと誰だかは分からないが、髪型からソイツが女なのは分かった。
とっさにある考えがうかび、自分の姿を確認する。
僕は、トランクス1枚しか身に付けていなかった。
まさか。
・・・いや、いつもそうして寝ているから、酔っていてもその習慣だけは忘れなかったんだ。そうに決まってる。
そう思ったが、一度頭に浮かんだ可能性は消えてくれなかった。
・・まさか、僕はこの女と・・・?
しかし、まったくもって思い出せない。
そもそも打ち上げ会場からどうやってここまで帰ってきたのかすら思い出せないのだ。
そこまで考え、僕は自然と打ち上げのメンバーの中から女性をリストアップしていた。
営業のあの娘か・・・いや、企画室の・・・・・・うぅ、まさか先輩じゃないよな・・・
色々な可能性を考え、しかしいくら考えても無駄なことに気が付いた。頭が痛くてそれどころじゃない。
そもそも隣に寝ているのだから、直接顔を確認すればいいのだ。
僕は、彼女を起こさないように慎重に体を起こすと、彼女の向こう側に回りこんだ。
彼女の顔にかかった布団をそっとずらし、慎重にその顔を確認する。
そこには・・・
「母さん?!」
「なんでいるんだよ!しかもなんで同じベッドで寝てんだよ!」
「え・・・それは・・・うふふ・・・(照)」
「うふふて!(照)ってなんだよ?!何で微笑?!何で照れてんだよ!」
「だってぇ・・・」
「だってじゃねぇよ何があった正確に話せ今すぐ話せ嘘偽り無く全て正直に話せ話してくれ」
「まさか・・・忘れちゃったの・・・?あんなに激しかったのに・・・(ぽっ)」
「なに頬赤く染めてんだよ乙女チックとか似合わねぇよ違ぇだろ激しいとか無かっただろなぁオイおふくろよお?!」
「・・・・・・」
「何黙ってんだよ・・・まさか・・・ホントに・・・?」
「そんなわけないでしょ。バカなこと言ってないでさっさと顔洗ってきなさい。酒臭い。」
このとき僕は、生まれて初めて人に殺意を抱いたわけで。
(End)
--------------------
フィクションですよ。念のため。
プロジェクトが完了して、その打ち上げがあったのだけど、ちょっとハメを外しすぎたみたいだ。
誰かがノリで頼んだアルコールの強い酒を、なぜだか知らないけれど僕が一気飲みさせられることになったのは覚えている。
僕もお酒は嫌いではないし、そもそもその時点でかなりの量を飲んでいたから、みんなの一気コールも手伝って一気に飲み干してしまった。
どうも、それがいけなかったらしい。
飲み干した直後は、ヒーロー気取りでみんなからの声援に応えたりしていたのだが、それが落ち着いたあたりから記憶があやしい。
途中、トイレを目の前にして吐いていたのはぼんやりながら記憶にあるのだが、どうやってお店から出たのか、どうやって自分の部屋に帰ってきたのか、その辺りはまったく覚えていない。
・・・そう。僕は今、自分の部屋のベッドに寝ていた。
まだ頭はガンガンするが、自分のベッドのニオイくらいは分かる。
とにかく、何か飲もう。
そう思い、とりあえず寝返りをうとうとした瞬間、背中が何かにぶつかった。
これは・・・・・・人・・・か・・?
どうも隣に誰かが寝ているようだった。
・・・もしかしたらここは僕の部屋ではないのか?
そう思い、痛む頭をおさえながら、軽く体を起こし、目を開けて焦点を合わせる。
見覚えのある壁。クローゼット。電気スタンド。
まだ頭が痛くて全てを見回すことはできないが、こちら側を見る限り確かに僕の部屋だ。
じゃあ隣に寝ているのは・・・?
僕は恐る恐る隣に寝ている人間の方を見た。
顔が向こうを向いているのでハッキリと誰だかは分からないが、髪型からソイツが女なのは分かった。
とっさにある考えがうかび、自分の姿を確認する。
僕は、トランクス1枚しか身に付けていなかった。
まさか。
・・・いや、いつもそうして寝ているから、酔っていてもその習慣だけは忘れなかったんだ。そうに決まってる。
そう思ったが、一度頭に浮かんだ可能性は消えてくれなかった。
・・まさか、僕はこの女と・・・?
しかし、まったくもって思い出せない。
そもそも打ち上げ会場からどうやってここまで帰ってきたのかすら思い出せないのだ。
そこまで考え、僕は自然と打ち上げのメンバーの中から女性をリストアップしていた。
営業のあの娘か・・・いや、企画室の・・・・・・うぅ、まさか先輩じゃないよな・・・
色々な可能性を考え、しかしいくら考えても無駄なことに気が付いた。頭が痛くてそれどころじゃない。
そもそも隣に寝ているのだから、直接顔を確認すればいいのだ。
僕は、彼女を起こさないように慎重に体を起こすと、彼女の向こう側に回りこんだ。
彼女の顔にかかった布団をそっとずらし、慎重にその顔を確認する。
そこには・・・
「母さん?!」
「なんでいるんだよ!しかもなんで同じベッドで寝てんだよ!」
「え・・・それは・・・うふふ・・・(照)」
「うふふて!(照)ってなんだよ?!何で微笑?!何で照れてんだよ!」
「だってぇ・・・」
「だってじゃねぇよ何があった正確に話せ今すぐ話せ嘘偽り無く全て正直に話せ話してくれ」
「まさか・・・忘れちゃったの・・・?あんなに激しかったのに・・・(ぽっ)」
「なに頬赤く染めてんだよ乙女チックとか似合わねぇよ違ぇだろ激しいとか無かっただろなぁオイおふくろよお?!」
「・・・・・・」
「何黙ってんだよ・・・まさか・・・ホントに・・・?」
「そんなわけないでしょ。バカなこと言ってないでさっさと顔洗ってきなさい。酒臭い。」
このとき僕は、生まれて初めて人に殺意を抱いたわけで。
(End)
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フィクションですよ。念のため。
by kemicho
| 2004-11-11 00:13
| 妄想